膝の痛み おなかや腰・お尻との関係筋肉強化も必要です
骨や関節部に大きな損傷がみられないにもかかわらず、膝が痛くて歩くのがつらい、手すりにつかまらなければ階段を登れない、降りられない、イスから立ち上がるときに膝がチクンと痛む、歩くときになんだか太ももに力が入らずにふらつくなど、膝の症状は生活を大きく不自由させます。
これらはひどくなると、膝に水が溜まる関節炎を引き起こしたり、膝を構成する骨を変形させて更なる痛みを生むことになります。
どうして膝が痛くなるの?
関節に水が溜まるほどではない膝の痛みには、膝の内側の痛み、外側の痛み、上下の痛みに大別されます。
膝にくっついている筋肉の引っ張りが痛みの原因です。
膝の内側の痛みには内転筋といわれる太ももの内側の筋肉や半腱・半膜様筋という太ももの後ろにある筋肉が、外側の痛みには太ももの外側にある大腿筋・腸脛靭帯や太ももの後ろにある二頭筋が、膝を引っ張ったまま動かすことで痛みがでます。膝の上の痛みには大腿四頭筋が、膝の下の痛みにはこれら全ての筋肉のひっぱりが関わることがあります。
膝につく筋肉が老化や筋肉疲労や冷えなどで硬くなると、膝への引っ張りが強くなります。その状態で膝を使い続けると痛みが起こり、ひどくなると炎症を引き起こします。
どうすれば痛みが解消するの?
膝につく太ももの筋肉を柔らかくすることで引っ張りがなくなります。
硬くなった筋肉をほぐし、筋肉のコリを小さくして筋肉本来の弾力をとり戻します。さらに太ももにつながるお尻や腰の筋肉もほぐすことで、太ももの筋肉はほぐれやすくなります。
膝への過度な引っ張りがなくなると痛みは減ります。
膝の痛みは体重のせい?
「痩せないと膝は治りませんか?」とよく聞かれます。答えはイエスでありノーでもあります。
確かに体重はヒザそのものに負荷をかけるわけですから、全く無関係ではありません。しかし大切なのは体重と筋力のバランスです。たとえ100キロを超えても、太ももの筋肉がしっかりと鍛えられていれば、膝と太ももで体重を無理なく支えることができるわけです。
つまり、予後に膝の痛みがでないように予防するには、筋肉をほぐすことに加えて筋肉の強化(運動療法・リハビリ)も不可欠になっていきます。
おなかの症状が膝に影響します
膝の直接的な痛みの原因は太ももの筋肉の硬さにあります。それではどうして太ももの筋肉が硬くなってしまうのか、それは老化や筋肉疲労だけではありません。
軟便や下痢や便秘などの腸の症状、膀胱炎や頻尿などの泌尿器症状、不正出血や生理周期の乱れなどの婦人科症状、痔なども見逃せません。
これらの症状があると、内臓体性反射という神経-筋肉反射が起こり、自然に太ももや腰やお尻の筋肉が硬くなってしまいます。
無理に歩いて筋肉を使ったわけでもなく、急に太ったわけでもなく、極端に膝を冷やしたわけでもない、でも太ももが硬くなって膝にくる、このような場合にはおなかの症状を確認してみることが不可欠です。
おなかの諸症状にはお灸がとても有効です。
ご自宅でもできる熱くないやさしいお灸を指導させていただいております。膝は膝を手当てするだけでは治りません。内臓と筋肉の双方を診ていく必要があります。